ここでは、宿泊分野で特定技能外国人を雇用するにはどうしたらよいかを簡単に説明します。特定技能ビザ(在留資格「特定技能」)についての基本的なことはこちらをご覧ください。
目次
受入れ企業の要件
まず、特定技能所属機関(受入れ企業)の要件を説明します。
業務区分該当性(従事する業務)
宿泊分野の主たる業務は、宿泊施設におけるフロント,企画・広報,接客およびレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務です。
上記主たる業務と併せて行う限りにおいては、当該業務に当該事業所において従事する日本人が通常従事することとなる関連業宇(旅館・ホテルの施設内の土産物等売店における販売業務、旅館・ホテルの施設内の備品の点検・交換業務等)に付随的に従事することは差し支えありません。
受け入れ機関適合性
受け入れ機関は、下記1~5の事項等を遵守する旨の「宿泊分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書」を提出しなければならず、誓約事項を遵守できなくなった場合は、その旨を出入国在留管理庁長官及び国土交通大臣に対し報告することが求められます。
また、登録支援機関も、下記5を遵守する旨の「宿泊分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書」を提出しなければならず、誓約事項を遵守できなくなった場合は、その旨を出入国在留管理庁長官及び国土交通大臣に対し報告することが求められます。
1.営業形態,許認可等
特定技能所属機関は、受入れ機関適合性として、(1) 旅館業法2条2項に規定する旅館・ホテル営業御形態で旅館業を営んでいること,(2) 旅館業法3条1項の旅館・ホテル営業の許可を受けていること,(3) 1号特定技能外国人に風営法2条6項4号に規定する施設(ラブホテル等)において就労させないこととしていること,(4) 1号特定技能外国人に、風営法2条3項に規定する接待を行わせないこととしていることが必要です。
上記要件を満たさない特定技能所属機関における就労は、受入れ機関適合性を満たさず、在留資格「特定技能1号」に係る在留資格該当性がないため、不法就労活動です。
2.協議会の構成員であること
特定技能所属機関が、国土交通省が設置する宿泊分野特定技能協議会(以下、この文章において「協議会」といいます)。に加入することが必要です。初めて1号特定技能外国人を受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入し、加入後は、協議会に対し、必要な協力を行わなければなりません。特定技能所属機関が、初めて特定技能外国人を受け入れる場合には、地方出入国在留管理局に対する在留所申請の際に、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会の構成員となる旨の誓約書の提出が必要です。入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、受け入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
特定技能所属機関が、2回目以降に受け入れる特定技能外国人にかかる在留所申請(初めて特定技能外国人を受け入れてから4か月以内の申請を除きます。)及び協議・連絡会の構成員となる旨の誓約書を提出して受け入れた特定技能外国人に係る在留期間更新許可申請の際には、協議・連絡会の構成員であることの証明書の提出が必要です。
3.協議会に対し、必要な協力を行うこと
特定技能所属機関は、上記2の協議会に対して、必要な協力を行わなければなりません。協議会に対して必要な協力を行わない場合には、受け入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
4.国土交通省が行う調査または指導に対し、必要な協力を行うこと
特定技能所属機関は、国土交通省が行う調査または指導に対し、必要な協力を行わなければなりません。国土交通省御調査または指導に対し、必要な協力を行わない場合には、受入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
5.登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託するに当たっては、上記2~4の条件をすべて満たす登録支援機関に委託すること
特定技能所属機関が登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合には、当該登録支援機関も、国土交通省が設置する協議会に加入する必要があります。
登録支援機関が初めて宿泊分野において1号特定技能外国人の支援の全部を実施する場合には、当該1号特定技能外国人の入国後4か月以内に、協議会に加入する必要があります。登録支援機関が入国後4か月以内に協議会加入していない場合には、当該登録支援機関に全部委託した特定技能所属機関は、受入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。また、登録支援機関が協議会または国土交通省の調査や指導に対し、必要な協力を行わない場合には、当該登録支援機関に善美託した特定技能所属機関は、受入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
特定技能外国人が有すべき要件
試験に合格すること
宿泊業分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、宿泊業技能測定試験の合格及び、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)の合格が求められます。
18歳以上で、健康状態が良好であること
試験合格のルートでも、技能実習2号を良好に修了したルートのどちらのルートでも、本人の健康状態が良好であることが必要なので、在留資格の申請時に健康診断書が必要です。健康診断書の様式は、入国管理庁のホームページからダウンロードできます。
特定技能の在留資格で通算5年になっていないこと
特定技能1号の場合は、特定技能の在留資格で通算5年までしか在留できません。それを超えて在留資格の申請をしても許可を得られませんのでご注意ください。
特定技能2号について
特定技能2号は、2023年12月現在、なっている人がとても少ないですが、これからは徐々に増えていくと思われます。特定技能2号になると、在留期間の更新に上限がなくなり、扶養する配偶者・子の帯同が可能となるというメリットがあります。
雇用形態は、フルタイムの直接雇用に限られます。