ここでは、介護分野で特定技能外国人を雇用するにはどうしたらよいかを簡単に説明します。特定技能ビザ(在留資格「特定技能」)についての基本的なことはこちらをご覧ください。

受入れ企業の要件

まず、特定技能所属機関(受入れ企業)の要件を説明します。

業務区分該当性(従事する業務)

 介護分野の主たる業務は、身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事,排せつ,整容・衣服着脱,移動の介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)です。訪問介護等の訪問系サービスにおける業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務)は対象となりません。なお、後記受入れ機関適合性の1(1)の要件を満たさない事業所における就労は、業務区分該当性がありません。上記の主たる業務と合せて行う限りにおいて、当該業務に当該事業所において従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(お知らせ等の掲示物の管理,物品の補充や管理等)に付随的に従事することは差し支えありません。もっぱら関連業務に従事することは認められません。また、関連業務としてであっても、訪問系サービスにおける業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務)に従事することは認められません。

受入れ機関適合性

 受入れ機関は、下記1~5の事項等を遵守する旨の「介護分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書」を提出しなければならず、誓約事項を遵守できなくなった場合は、その旨を出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に対し報告することが求められます。

 また、登録支援機関も、下記5を遵守する旨の「介護分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書」を提出しなければならず、誓約事項を遵守できなくなった場合は、その旨を出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に対し報告することが求められます。

1.就業場所

(1)ア)介護福祉国家試験の受験資格の認定において実務経験として認められる事業所

  介護分野の1号特定技能外国人を受入れる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格の認定において実務経験として認められる介護等の業務に従事させることができる事業所でなければなりません。

 上記の「介護等の業務」とは、社会福祉士および介護福祉士法40条2項5号に規定する「介護等の業務」であって、介護福祉士試験の受験資格の認定において「介護等の業務」に従事したと認められるものです。具体的には、技能実習制度と同様、「『介護職種について外異国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護に関する法律施行規則に規定する特定の職種および作業に特有の事情に鑑みて事業所管大臣が定める基準等』について」(平成29年9月29日社援発0929第4号,老発0929第2号)の通りです。

 提出書類たる地方自治体が発行する指定通知書等(介護保険法等に基づく事業所の指定や医療法に基づく病院等の開設許可を賞する書面)の写しに記載されている施設、事業またはサービスの種類が、介護分野における業務を行わせる事業所の概要書の「②施設・事業の類型」欄に記載されている種別コードに対応している施設・事業と同一であるか否かが、出入国在留管理庁によって確認されます。

(1)イ)訪問系サービス

 訪問介護等の訪問系サービス(利用者の居宅においてサービスを提供する業務)を行う事業所においては、利用者および1号特定技能外国人双方の人権擁護並びに適切な在留管理の観点から、1号特定技能外国人を受入れることが認められません。

 1号特定技能外国人の受入れ後に当該1号特定技能外国人が業務に従事する事業所が変更した場合には、14日以内に特定技能雇用契約変更に係る届出が必要です。届出に当たっては、介護分野における業務を行わせる事業所の概要書および自治体が発行する指定通知書等の写しを添付しなければなりません。

 

2.人数枠

 介護分野において、1号特定技能外国人の人数枠は、事業所単位で、異本陣頭の常勤の介護職員の総数を超えないこととされています。「日本人等」には、(1)介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士(在留資格「特定活動」),(2) 在留資格「介護」により在留する者,(3)「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」により在留する者,(4) 特別永住者が含まれます。技能実習生、EPA介護福祉士候補者および留学生は含まれません。

3.協議会の構成員であること

 特定技能所属機関が、厚生労働大臣が設置する介護分野における特定技能協議会(以下、この文章において「協議会」といいます)。の構成員であることが必要です。初めて1号特定技能外国人を受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入し、加入後は、協議会に対し、必要な協力を行わなければなりません。特定技能所属機関が、初めて航空分野の特定技能外国人を受け入れる場合には、地方出入国在留管理局に対する在留所申請の際に、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会の構成員となる旨の誓約書の提出が必要です。入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、受け入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。

 特定技能所属機関が、2回目以降に受け入れる特定技能外国人にかかる在留諸申請(初めて特定技能外国人を受け入れてから4か月以内の申請を除きます。)及び協議・連絡会の構成員となる旨の誓約書を提出して受け入れた特定技能外国人に係る在留期間更新許可申請の際には、協議会の構成員であることの証明書の提出が必要です。

4.協議会に対し、必要な協力を行うこと

 特定技能所属機関は、上記の協議会に対して、必要な協力を行わなければなりません。協議会に対して必要な協力を行わない場合には、受け入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。

5.厚生労働大臣による調査または指導に対し、必要な協力を行うこと

 特定技能所属機関は、介護分野への特定技能外国人の受入れに関し、厚生労働大臣が行う調査,指導,情報の収集,意見の聴取その他の業務に対して必要な協力を行わなければなりません。「厚生労働大臣が行う調査,指導,情報の収集,意見の聴取その他の業務」とは、たとえば、協議会が行う調査や、外国人介護人材相談支援事業実施団代が行う1号特定技能外国人の受入れ施設に対する巡回訪問をいいます。

特定技能外国人が有すべき要件

特定技能外国人が有すべき技能水準

 介護分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、(1) ア.介護技能評価試験の合格、またはイ.介護福祉士養成施設修了、またはウ.EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間) または、(2) 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)の合格、または、(3) 介護分野の2号技能実習を良好に修了した者とされます。イ.介護福祉士養成施設修了またはウ.EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)した者は、日本語試験が免除されます。介護分野の2号技能実習を良好に修了した者は、技能試験と日本語試験が免除されます。

18歳以上で、健康状態が良好であること

試験合格のルートでも、技能実習2号を良好に修了したルートのどちらのルートでも、本人の健康状態が良好であることが必要なので、在留資格の申請時に健康診断書が必要です。健康診断書の様式は、入国管理庁のホームページからダウンロードできます。

特定技能の在留資格で通算5年になっていないこと

 特定技能1号の場合は、特定技能の在留資格で通算5年までしか在留できません。それを超えて在留資格の申請をしても許可を得られませんのでご注意ください。

特定技能2号について

 介護分野は、在留資格「介護」があるため、特定技能2号が認められていません。

雇用形態は、フルタイムの直接雇用に限られます。