ここでは、ビルクリーニング分野分野で特定技能外国人を雇用するにはどうしたらよいかを簡単に説明します。特定技能ビザ(在留資格「特定技能」)についての基本的なことはこちらをご覧ください。
目次
受入れ企業の要件
まず、特定技能所属機関(受入れ企業)の要件を説明します。
業務区分該当性(従事する業務)
ビルクリーニング分野の主たる業務は、建築物内部の清掃です。具体的には、多数の利用者が利用する建築物(住宅を除きます。)の内部を対象に、衛生的環境の保護、美観の維持、安全の確保および保全の工場を目的として、場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、方法、洗剤および用具を適切に選択して清掃作業を行い、建築物に存在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する業務をいいます。清掃対象から除外される上記の「住宅」とは、戸建て、共同住宅の専有部分等をいいます。共同住宅の共用部分(ロビー、廊下等~は、清掃対象に含まれます。主たる業務として、ビルクリーニング作業(日常清掃、定期清掃、中間清掃、臨時清掃)のほか、客室のベッドメイク作業を行うことが認められます。客室以外のベッドメイク作業は、関連業務として認められます。
上記主たる業務と併せて行う限りにおいては、当該業務に当該事業所において従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。具体的には、(1) 資機材倉庫の整備作業(2) 建物外部洗浄作業(外壁、屋上等)、(3) 客室以外のベッドメイク作業、(4) 建築物内外の植栽管理作業(灌水作業等)、(5) 資機材の運搬作業(他の現場に移動する場合等)、(6)ベッドメイク作業を除く客室等整備作業等です。もっぱら関連業務に従事することは認められません。
受け入れ機関適合性
受け入れ機関は、下記1~4の事項等を遵守する旨の「ビルクリーニング分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書」を提出しなければならず、誓約事項を遵守できなくなった場合は、その旨を出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に対し報告することが求められます。
また、登録支援機関も、下記5を遵守する旨の「ビルクリーニング分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書」を提出しなければならず、誓約事項を遵守できなくなった場合は、その旨を出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に対し報告することが求められます。
1.建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所において受入れること
特定技能所属機関は、建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所において、1号特定技能外国人を受入れなければなりません。特定技能所属機関が上記の建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所において1号特定技能外国人を受入れ、その特定技能外国人が、当該特定技能所属機関に清掃業務委託をしているホテル等の現場で清掃業務に従事することは差し支えありません。なお、上記の建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けているホテル等は、自らが特定技能所属機関となり、ビルクリーンイング分野において、特定技能外国人を受入れることができます
上記要件を満たさない特定技能所属機関における就労は、受入れ機関適合性を満たさず、在留資格「特定技能1号」に係る在留資格該当性がないため、不法就労活動です。
1号特定技能外国人受入れ後に当該1号特定技能外国人が業務に従事する営業所が変更した場合には、14日以内に特定技能雇用契約変更に係る届出が必要です。届出に当たっては、「建築物清掃業登録証明書」または「建築物環境衛生総合管理業登録証明書」を添付しなければなりません。
2.協議会の構成員であること
特定技能所属機関が、厚生労働大臣が設置するビルクリーニング分野特定技能協議会(以下、この文章において「協議会」といいます)。に加入することが必要です。初めて1号特定技能外国人を受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入し、加入後は、協議会に対し、必要な協力を行わなければなりません。特定技能所属機関が、初めて特定技能外国人を受け入れる場合には、地方出入国在留管理局に対する在留所申請の際に、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会の構成員となる旨の誓約書の提出が必要です。入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、受け入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
特定技能所属機関が、2回目以降に受け入れる特定技能外国人にかかる在留所申請(初めて特定技能外国人を受け入れてから4か月以内の申請を除きます。)及び協議会の構成員となる旨の誓約書を提出して受け入れた特定技能外国人に係る在留期間更新許可申請の際には、協議会の構成員であることの証明書の提出が必要です。
3.協議会に対し、必要な協力を行うこと
特定技能所属機関は、上記2の協議会に対して、必要な協力を行わなければなりません。協議会に対して必要な協力を行わない場合には、受け入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
4.厚生労働大臣による調査または指導に対し、必要な協力を行うこと
特定技能所属機関は、ビルクリーニング分野への特定技能外国人の受入れに関し、厚生労働大臣が行う調査、指導、情報の収集、意見の聴取その他の業務に対し、必要な協力を行わなければなりません。国土交通省御調査または指導に対し、必要な協力を行わない場合には、受入れ機関適合性を満たさず、在留資格該当性がないことになります。そのため、特定技能外国人の受け入れができないこととなり、その状態で特定技能外国人に就労させる場合は、不法就労助長罪が成立します。
特定技能外国人が有すべき要件
試験に合格するか2号技能実習を良好に修了すること
ビルクリーニング分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験の合格及び、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)の合格、または、ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の第2号技能実習を良好に修了することが求められます。
18歳以上で、健康状態が良好であること
試験合格のルートでも、技能実習2号を良好に修了したルートのどちらのルートでも、本人の健康状態が良好であることが必要なので、在留資格の申請時に健康診断書が必要です。健康診断書の様式は、入国管理庁のホームページからダウンロードできます。
特定技能の在留資格で通算5年になっていないこと
特定技能1号の場合は、特定技能の在留資格で通算5年までしか在留できません。それを超えて在留資格の申請をしても許可を得られませんのでご注意ください。
特定技能2号について
特定技能2号は、2023年12月現在、なっている人がとても少ないですが、これからは徐々に増えていくと思われます。特定技能2号になると、在留期間の更新に上限がなくなり、扶養する配偶者・子の帯同が可能となるというメリットがあります。
雇用形態は、フルタイムの直接雇用に限られます。