ここでは、在留資格「介護」と在留資格「特定技能」の介護との違いについて説明します。

1.在留資格「介護」

1.1.在留資格「介護」の仕事内容

 入管法別表第 1の2の表の「介護」の在貿資格の項の下欄において、在留資格「介護」の仕事内容について下記のように規定されています。
 「本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動」(入管法別表第 1の2)
 すなわち、入浴や食事の介助等の介護業務全般を行う活動が該当し、ケアプランの作成等も含まれると解されます。介護対象者の範囲は、老人介護に限定されず、若年者、障碍者の介護も含まれます。就労先は、必ずしも介護施設等だけでなく、訪問介護も可能であり、病院等も含まれます。

1.2.在留資格「介護」の取得要件

 

在留資格「介護」の取得要件は、介護福祉士養成施設を修了し、国家資格「介護福祉士」に合格することです。「介護福祉士」への受験資格は、実務経験3年以上、かつ介護福祉士実務者養成研修を受講することで得ることができますが、介護福祉士養成施設を修了していなければ、在留資格「介護」に変更することはできません。

 ただし、2022年3月までに介護福祉士養成施設を修了された方は、試験に不合格だったとしても、5年間の有効期限を持つ介護福祉士の資格を取得可能です。しかし、5年間の実務経験を経なければ、その後の更新はできません。

2.在留資格「特定技能」の介護

2.1.在留資格「特定技能」の「介護」の仕事内容

 介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針において下記のように規定されています。
 「身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)とし、訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象としない。」(介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 https://www.mhlw.go.jp/content/000982585.pdf
 在留資格「介護」が訪問介護できるのに対し、在留資格「特定技能」の介護では、訪問介護はできません。訪問系サービスは除外されています。
 雑務については、日本人従業員と同程度従事することを認められています。

2.2.在留資格「特定技能」の「介護」の取得要件

 

在留資格「介護」と違い、介護福祉士養成施設の修了義務や、介護福祉士試験への合格は必要ありません。ただし、下記に説明する通り、介護福祉士養成施設を修了していれば特定技能の介護へ移行可能です。
在留資格「特定技能」の「介護」の取得要件は、以下の4つあります。

(1)技能実習2号を良好に修了すること

 技能実習「介護」を技能実習2号まで良好に修了することにより、特定技能「介護」へ、試験を受けることなく移行することができます。
技能実習制度において、介護職種は独自の基準を設けており、入国時に日本語能力N4程度が必要であり、外国人にとってハードルの高いものとなっています。

(2)特定活動「EPA介護福祉士候補者」にて4年間、就労・研修すること

 特定活動「EPA介護福祉士候補者」は、4年間で国家資格である介護福祉士の合格を目指します。しかし試験の難易度は難しく、合格できない外国人も多くいます。救済措置の意味合いもあり、不合格者は特定技能への移行が認められています。

(3)介護福祉士養成施設を修了すること

 在留資格「介護」の取得を目指して、介護福祉士養成施設を修了した外国人も特定技能への移行が可能です。
 2022年3月末まで経過措置として、介護福祉士養成施設の修了者は、不合格でも介護福祉士の資格が与えられましたが、この経過措置は終了したため、今後は、この方法が活用されることもあるでしょう。

(4)技能水準、日本語能力水準を満たすこと

 技能水準と日本語能力水準の両方の水準を満たすことで、「特定技能」介護の要件をクリアすることが可能です。日本語能力水準は、下記の2つの試験に合格しなければなりません。