ここでは、経営・管理ビザ(在留資格「経営・管理」)について説明します。
外国人も日本で株式会社等の会社を設立することができます。会社設立は容易ですが、経営・管理ビザの取得は容易ではありません。会社を設立しても、経営・管理ビザを取得できないと、設立した会社の経営・管理をすることはできません。経営・管理ビザを取得するにはどうしたらよいかを見ていきましょう。
目次
1.1 事業所が日本国内に存在していること
まず、経営・管理をしようとする対象の会社の事業所が日本国内に存在していることが必要です。これは、形式的に単なる空間が存在すること、名義上存在することだけでは不十分であり、実質的に活動の拠点として位置づけられていることが必要です。
事業内容を示した文書(法人の登記事項証明書の写しなど)の他、事業所として、物件を借りている場合には、その賃貸借契約書、物件を所有している場合には不動産の登記簿謄本を添付し、事業所の実体を示す必要があります。また、実務を行う机と椅子を必要数用意し、その写真を添付します。
料理店の経営の場合には、料理店の客席だけでは足りず、経営・管理のための部屋が別途必要になります。それも写真で示すと良いでしょう。
自宅を会社にしてもかまいませんが、居住空間と区別できることが必要なので、一軒家の場合は、1階と2階で分けて出入り口も分けるなどの対策が必要です。自宅のマンションを会社にすることは、居住空間と経営・管理空間を分けられないという点で、経営・管理ビザを取得するには不十分です。
1.2 資本金の額が500万円以上であること。
経営・管理ビザを取得したい本人か、協力者の日本での銀行口座に500万円以上振り込んだ記録などが必要です。送金手数料を除いた金額で500万円以上となるように、余裕を持って送金してもらう必要があります。また、いわゆる見せ金でないことが必要です。
資本金の額が500万円以上ない場合でも、その経営・管理に従事する者以外に日本国内に居住する2人以上の常勤の職員が従事して営まれる場合にはOKなのですが、その経営・管理に従事する者以外に日本国内に居住する2人以上の常勤の職員が従事して営まれる場合には、実際には、年間500万円以上掛かってしまうと思うので、資本金の額を500万円以上用意した方が現実的です。
1.3 事業の管理に従事しようとする場合には、事業の経営または管理について3年以上の経験(大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
事業の管理に従事しようとする場合、すなわち、日本法人である会社等に管理者として雇用される場合には、事業の経営または管理について3年以上の経験(大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です。
1.4 経営・管理主体の活動実体があること・事業の継続性があること
具体的には、複数年分の事業計画書の写し、直近の年度の決算文書の写しを提出します。事業が赤字である場合には、事業の継続性が問題となりますので、黒字となるような事業計画書を作成し、提出する必要があります。
事業をするに当たり、許認可が必要な業種の場合には、その許認可を取得しておくことも必須です。許認可を取得した上で、事業を行う必要があります。
1.5 当該外国人が事業の経営または事業の管理に従事すること
経営・管理ビザを取得したい本人(当該外国人)が、事業の経営または事業の管理に従事することが必要です。事業の経営を行うとは、その事業を運営することを意味し、例えば、会社の場合、取締役等の役員としての活動が経営を行う活動に該当します。また、事業の管理に従事する活動には、その事業を営む企業等において組織を指揮・監督する立場にある者としての活動が該当し、例えば、部長,工場長,支店長等の管理者としての活動が該当します。
ただし、外国法事務弁護士事務所等「法律・会計業務」の在留資格が必要な士業事務所の経営・管理に従事するときは、「法律・会計業務」の在留資格が必要ですので、その場合は、「経営・管理」の在留資格は取れません。
2.1 在留期間
経営・管理の在留期間は、5年,3年,1年,6か月,4か月または3か月です。